版権小説
□同一趣味
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「フッフッフッ 光栄か?」
投げつけられたのは奴のコート。
ズルリと頭からコートが落ち視界が開けた。
しかし、奴は先程と同じように椅子に座りちゃんとコートを着ていた。
やっぱりか…
俺の膝に落ちたコートは奴の物で間違いなかったが、ソレには血が付着していた。
ロビーにいた客たちから小さな悲鳴聞こえた。俺の顔や服にコートについた血が付いていたのだ。
奴の周りから血の匂いがしていたのは気づいていたが…
同色のコートで気付かなかったか、目を閉じていたから気付かったかのどっちかだろう。
「珍しいな。自分でやったのか…?」
「どうだろうな?」
自分の手が汚れるのをあまり良く思わないコイツ。人を操り、仲間同士で争わせるのを見るのが暇つぶしの解消方だと昔言っていた気がする。
大方近くで見すぎて血が付いたか、技と付いたか…単に気まぐれか。
俺は血の滴るコートをはおる。予想通りに柔らかく予想以上に血の匂いがした。
半ば埋もれるようにコートを抱きしめる。
「あぁ?興奮してんのか?」