版権小説

□不眠不休
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電伝虫に手をのばす。

「さっさと出ねぇか!」
瞬間、聴き覚えのある声で怒鳴られる。
電伝虫の目はつり上がり、口は大きな笑顔になった。

「フッフッフ…いや、お仕事ご苦労トラファルガー・ロー?」

「………あぁ」
それはそれは楽しそうで嫌味ったらしい独特な笑い声が電話先から聞こえる。

「だがな、あまり俺を待たせるんじゃねぇ」

「……あぁ」
短絡的な返事を返す俺に、相手はまた楽しそうに笑うのだ。

「まあいい。患者の様態はどうだ?死んじまったか?」

「……」
笑いを含んだ奴の言葉が気に触ったが、相手が悪い。

「フッフッフ。怒んじゃねえよ、お前の腕は賞賛に値する」
まるで最初から全て分かっているかのような言い方だ。いや、コイツは分かっているんだろう。

「わざわざ連絡なんかしてくんなよ」

「つれねえなぁ。戦争も終わったし暇なんだよ」
戦争が終わってから数日が経ち、海軍・海賊共に今は大人しくしている。
あんな事があった後だ、無理もない。一般人からしてみれば平和ともとれる時間が来た。

「仕事でもしればいいだろ」

「順調すぎてつまらねぇんだ。何か面白い事はなかったか?」

「お前が期待するような事はないな。…今の所は」

「フッフッフッ。楽しい事は長くなるほど楽しくなるってもんだ」
“楽しい事”とは新時代へと導く為に必要な人物の事だろうか?
麦藁屋、あいつは一体何者なんだ。

「時代が変わるんだ。アイツから目を離すんじゃねえぞ」
新時代……本当の海賊だけが生き残れる時代だと聞いたがどういう意味だ?

「分かってるさ。」

「魚人島に仲間がいるみたいだ。ソイツに預けてお前は監視でもしてろ」

「“元七武海”もか?」

「あ?…あぁ、そうだな適当に転がしとけ」
間の感じからして、元七武海海峡のジンベエの存在を忘れていやがったな。
大ルーキーの麦藁屋に比べれば…ってことか?

「あんたのよみ通りだったな。用意しといて大正解だ」
電話先から笑い声が聞こえる。
今の所、コイツの予想通りに事が進んでいる。魚人の血に、麦藁屋に合った血液。
二人が怪我をする事を見込しての準備だった。

「まさか四皇の赤髪が来るとは思っていなかったがな。」

「多少のくるいはあったが、結果的に元の鞘に収まったって事だな」
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