版権小説
□思惑
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「こっちの魚人もかなり危ないよ」
ベポが焦って報告してくる。
「魚人の血液なら手配済みだ。持ってきて輸血しろ」
いつの間に?と疑問を浮かべているベポに「早くしろ」と眼で指示する。
魚人の血液はかなりの貴重品だ。船員たちからも「魚人の血液なんてあったのか…?」と囁き合う声が聞こえたが、それに答えてやる義理はない。
麦藁屋同様に深いキズを負った魚人。二人ともかなりの重症で、一人ずつ見ている暇はない。そんな事をすればどちらか一人死ぬ事になる。
二人同時の治療が求めらる。時間がない。
医者は一人、患者は二人。
久々に手応えのある手術が出来そうだ。口元にうっすらと笑みを浮かべ治療にとりかかった。
端から見ればトラファルガー・ローの姿は、今にも殺さんばかりの雰囲気に見えるのだ。
唇の端は上がり、ブツブツと何事かを発している。どちらも無意識だからタチが悪い。
何より患者を見る眼が危ないのだ。
生へと導く医者ではなく、死へと誘う死神のように…。
『死の外科医』はここからきたんだろうな、とロー除くハートの海賊団の船員達は納得していた。
こんな患者を紹介してくれた『アイツ』に感謝しないとな…
そんな事を頭の片隅におき、死の外科医は黙々と手を動かし続けた。
☆★トラファルガー・ローは誰かと内通してるんじゃ…(笑)と思っています。