版権小説

□世界が変わった日
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あれはまだ俺が海軍にいた頃だ。
一人の奇怪な子供に出会った―――今思えばその時俺の運命の歯車にヒビが入り……壊れ始めたのかもしれない。


ゴール・D・ロジャーの処刑の日、世界中の人々が注目し誰もがその光景を一目見ようと集まっていた。
広場は人で埋めつくされ、まだ下っぱだった俺は警備に当たらされる事になっていた。
子供は勿論、女も男も皆処刑台を見つめいつ始まるのか待っていた。

「あーあ…俺も見たいぜ、ロジャーの処刑」

「お前は確か…広場前の出入口だったか?運がよけりゃ見れるだろ。俺なんか船番だぜ?絶望的だ」

「ドレークはどこだっけ?」
比較的仲の良い同僚達とたわいのない話しをしながら、持ち場へと向かう。

「俺か?俺は特別室の警備だな」
処刑台を一望できる特等席。いわば、それなりに『地位』がある方が居る部屋の警備だ。
「!!」
同僚達の目が一斉にこちらに向けられた。その目はキラキラとしていて口々に羨ましいと言われた。

「七武海・海賊女帝ハンコック!勿論知ってるだろお前もっ!?」
絶世の美女と呼ばれている七武海のボア・ハンコック。この世の男なら誰もが心を奪われてしまう…らしい。
生憎ながら見た事がないので分からない。
「それもそうだな…。七人もいれば海賊女帝以外の可能性もありえるか…」

「でも可能性はあるだろ?羨ましい…」
渋々ながらも諦めたらしい同僚達は各々の持ち場へと向かっていった。


軽くノックをし、マニュアル通りの礼儀正しい対応をして部屋の主に挨拶をする。
ボア・ハンコック――ではなく、同じ七武海のドンキホーテ・ドフラミンゴが椅子に腰を掛け、ベランダから見える処刑台を見ていた。
俺が今日の警備の事を伝え終わると、邪魔だとでも言いたそうな雰囲気をかもしだされた。

「私は部屋の外におりますので何かあれば一言言って下さい」
何か言われる前に早々と部屋を退出しようとする。一礼をし、顔をあげるとベランダに小さな人影が見えた。

「ん…?」
俺が目を凝らし見ようとするが、「用が済んだら出ていけ」と凄まれる。身体の底から恐怖を感じた。冷や汗が吹き出し足が震えた。

途端、サッとその人影が消えた。気にはなったものの、身の危険を感じている今ココにいる事は出来なかった。

もう一度、一礼をして足早に部屋から退出した。
確かに見えた小さな人影。子供ものような人影がベランダにいたのだ。
間違って紛れこんだのか?いや…無理だろう。

部屋の前に立ち、そんな事を考えていた。

もし間違って入りこんでいて、それが部屋の主に見つかれば確実に殺されるかもしれない――だが、しかし…
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