版権小説

□不眠不休
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電伝虫が鳴っている。

電伝虫が鳴り響いている…

電伝虫が鳴り続けている。

数分たったがまだ鳴っていた。
止まる気配のない電伝虫に痺れをきらしたのは、電話先の相手ではなく俺だった。

ろくに寝もせずに朝を迎えた。あまり睡眠を好まない性分で、日頃からも寝る事を必要としていなかったが今は違う。
この数日、不眠不休で働き続け、やっとのことで睡眠の時間を作ったというのに…

いつまで経っても止まない電伝虫に苛立ちを覚えた。
眠りが浅い為、少しの物音にも敏感に反応してしまう。ましてや、規則的にプルプルと鳴り続けられては寝たくても寝れない。

完全防音の自室にし、外からの音が聞こえないようにしたというのにこれでは意味がない。

本棚にもたれ掛かっていた体を持ち上げる。硬い地面に座っていたせいか尻が痛かった。
ノロノロとした動作で音に向かう。出来ることならこのままプッツリときれてほしいものだ。

電伝虫の前にやって来たが、きれているはずもなくまだ鳴り続いていた。

俺の自室、船員室に設置している電伝虫は少々特殊で、船員達に聞かれる事はおろか存在を知られる事も危ういのだ。
つまり、それなりの奴からかかってくる。厄介な仕事関連だ。
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