ペルソナ3

□真実として存在する、今日の僕。
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あまりに綺麗な夢をみると現実との境目がわからなくなる、らしい。
怠い、ただ怠かった。
昨日あったことが断片的にしか蘇らないから、鮮明な今の自分が夢の中を彷徨う存在に思えてきて気分がむかむかした。
のそりとベッドから起き上がると、右手で長い前髪を軽く整える。そして、その手を眺めた。


昨日、死へと向かう暴走モノレールを、この手でブレーキを止めた。
直感だった。電車の操作なんて見よう見真似で出来るもんじゃないのに、何故か僕の身体はブレーキにと向かっていた。ゆかりの悲鳴が未だに耳に残っている。
順平が不快気味な色を目に浮かべていたが、仕方ない、僕だって解らない。


「おはよ、昨日は疲れたね。ブレーキありがとう」
寮の外でゆかりが笑って片手をひらひらと振った。外が眩しい。
「……、ねむい」
大きな欠伸をすると、ゆかりは僕の顔色を伺うように覗いて苦笑いをした。
キミっていつも寝てるよね、そんなに寝ると現実との境目が解らなくなるよ。
ああその通りだ。僕は目を細めた。



真実として存在する、今日の僕。



FIN*

*5月の話。ゆかりのパンツはピンクで決まりだな。

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