オリジナル

□ハルシオンチョコレート、僕を殺す。
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メロンパンとプリンと、蒸留酒1升。
ついでにアプリコットジャムでも買っておこうか、ジンに入れると美味いらしいし。
いち、にい、さん、コンビニの棚の前を通る度に増えて行くカゴの中の買い物を数えては溜息を吐く。倹約って言葉はどうやら俺の辞書には載っていないらしい。
ズボンのポケットから財布を取り出そうとしたら、財布の代わりに煙草の箱を取り出してしまった。その上2本しか残りがない。
「吸い過ぎか、」
またアオイに怒られる。
レジに並ぶと、煙草棚の右下の銘柄がこちらを見てきている気がしてならない。アオイのジト目が脳裏を過ぎる。
「あと、セブンスター2箱で」
可愛い店員が笑顔で頷いた。
セブンスターと目が合ったから仕方ない。

買い物をした後は喪失感と満足感が一度にくる。金を払っているんだから当たり前って言ったら当たり前なんだけど、なんかこう、俺の場合買ってしまった感がハンパない。ちなみに俺は買い物で充たされた感を感じたことは一度もない。
ライターのオイルもない。
結局、火のついていない煙草を銜えてとぼとぼと帰路についた。

今日は天気だ。この調子でアオイの機嫌もいいといい。
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