ペルソナ3

□ただ、
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いつもの様に玄関をくぐれば、変わらぬ日常。先ず、目に付いたのは美鶴先輩。足を組み教科書を読んで居る。
ただいま、と私が喋れば彼女はゆっくりと顔を上げ、嗚呼君か、と微笑んだ。

「部活は無かったのか、今日は早いな」
「テスト期間ですしね、流石に今回頑張らないと」
「前回のあの点ではな」

はは、と笑う先輩。教科書を閉じ、机の上にあった紅茶の入ったティーカップに手を伸ばす。それに合わせて私も苦笑い。すると甘い香りが2人の間を漂った。

「そういえばいい香りしません?」
「ああ、それは……」

キッチンの方へ顔を向けた先輩。続いて私もキッチンへと目をやる。
確かに香りはそこからだった。

「皆テスト勉強で脳が疲れてやがる、と言ってさっきからクッキー焼いてるそうだ」

再び教科書を広げた美鶴先輩が言った。なかなか気が利くがもう少し甘さを控えたクッキーの方が私は好きなんだが、とも言った。
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