ディスガイア

□因幡の白兎
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「プレネールさん、ニュースお願いします」
「……」


因幡の白兎


相変わらず無口ですね、と困った様にウサギに呟いたサメは、せかせかとカメラを定位置に移動させた。くるりと回ったカメラの画面には青い髪で色白、仏頂面を引っ付けた少女がむすりと映っている。
ウサギが少しこちらを見ると白い耳が小さく揺れた。

「まあ、まだあれは機嫌が良い方ですよ」
「そうなんですかね、僕にはさっぱりです。サメだけに」

と、何と何が掛かっているのか全く謎なギャグを吐いて得意気になったサメは、プレネールの方をちらと見ると直ぐに蒼褪めた。サメが蒼褪める、こちらの方が幾分面白い、とウサギは頭を動かしたが、直ぐにそれどころではない修羅場とスタジオは化した。

暫くしていざこざが去った後、依然として変わらぬ状態で座っていたプレネール。だが彼女の周囲は例の魔神と魔王の喧嘩があったかの如く物が散乱しており、もはやスタジオは原型をとどめていないに等しかった。ボロ雑巾となったウサギは床に突っ伏しサメは白目を剥き口がぱかりと開いたまま直立している。
稍あって修羅場の元兇、プレネールがゆっくりと立ち上がりウサギの耳を持ち、頭上で振り回し始めた。ウサギの耳は過去も彼女の所為で片方千切れていたのだが、プレネールは配慮してか態となのか千切れていない方の耳を握っている。振り回し過ぎて最早ただの白い楕円となってプレネールの頭上に浮かんでいるウサギは悲鳴も上げていない。我に反ったサメは恐怖で顔が引きつっており、眼には涙が溜まっていた。
プ、プレネールさ、さん、
そう吃ったサメは彼女を宥める事も出来ず、憐れスタジオの灰と化したのであった。




Fin*

*珍しくギャグで

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