pure

□三ツの駒
1ページ/2ページ


山吹高校の第二音楽準備室には、吹奏楽部や音楽の授業では使われないマイナーな楽器が補完されていた、というより放置されていた。

畳十二畳程で、人の出入りはほとんどない。
楽器の入っている棚にはほこりがつもっていた。


そんな第二音楽準備室に三つのパイプ椅子が置かれ、そこに三人の生徒が座っていた。



「じゃ、じゃあ、白鳥純ですッ!ピアノを弾けます!趣味は作詞ですッ!よろしくお願いします!」
少女はペコリとお辞儀をし、黒く長い髪をなびかせた。
恥ずかしがりなのか、口調は速く、頬は真っ赤になっていた。

「藤城潤。よろしく。最近ギターを始めました。よろしくお願いします」
眼鏡の青年は余裕そうに笑みを浮かべた。

「僕は如月美咲。小学生の頃から吹奏楽部でパーカッションをやっていました。ドラムは得意です。よろしくね」
優しい瞳をした彼はにっこりと微笑んだ。
どこにでもいる優しそうな青年だったが、頭の天辺から肩まで伸びた真っ白な髪が異彩を放っていた。


「へぇ、美咲くんって言うんだ☆」
純は目を輝かせた。
「とっても可愛い名前だね!女の子みたい☆」

純は何の悪気も無いように言ったが、「女の子みたい」という言葉は美咲の尺に触ったようだった。


美咲は純の神経を逆撫でするように言った。
「君の名前は男の子みたい、というより女の子らしくないね。落ち着きにかけるんじゃないのかい?」

「なっ」


その瞬間、2人の間に闘いの火蓋が落とされたのだった。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ