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□三ツの駒
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山吹高校の第二音楽準備室には、吹奏楽部や音楽の授業では使われないマイナーな楽器が補完されていた、というより放置されていた。
畳十二畳程で、人の出入りはほとんどない。
楽器の入っている棚にはほこりがつもっていた。
そんな第二音楽準備室に三つのパイプ椅子が置かれ、そこに三人の生徒が座っていた。
「じゃ、じゃあ、白鳥純ですッ!ピアノを弾けます!趣味は作詞ですッ!よろしくお願いします!」
少女はペコリとお辞儀をし、黒く長い髪をなびかせた。
恥ずかしがりなのか、口調は速く、頬は真っ赤になっていた。
「藤城潤。よろしく。最近ギターを始めました。よろしくお願いします」
眼鏡の青年は余裕そうに笑みを浮かべた。
「僕は如月美咲。小学生の頃から吹奏楽部でパーカッションをやっていました。ドラムは得意です。よろしくね」
優しい瞳をした彼はにっこりと微笑んだ。
どこにでもいる優しそうな青年だったが、頭の天辺から肩まで伸びた真っ白な髪が異彩を放っていた。
「へぇ、美咲くんって言うんだ☆」
純は目を輝かせた。
「とっても可愛い名前だね!女の子みたい☆」
純は何の悪気も無いように言ったが、「女の子みたい」という言葉は美咲の尺に触ったようだった。
美咲は純の神経を逆撫でするように言った。
「君の名前は男の子みたい、というより女の子らしくないね。落ち着きにかけるんじゃないのかい?」
「なっ」
その瞬間、2人の間に闘いの火蓋が落とされたのだった。
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