素敵小説

□思い込んでも無駄なんだ
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「テニスしよう!」
「はぁ?」
飛び上がりながら叫んだ俺に怪訝そうな顔をする日吉。でも無視。今の俺には逃げ道が必要なんだ!
「テニス、しようぜ!」
「…別にいいけど、マジになんなよ」
「ん?何で?」
「前みたいに暫くテニスできなくなるのはゴメンだからな」
「あー。オッケオッケ」

そういえば最初は新人戦だったんだよなー。俺が赤目になって、こいつがそれでも粘って、それに腹立って…なつかしー
今ではまぁいろいろあって普通に話したりするけどお互い大っ嫌いだったもんなー、あ、まじ懐かしい
そんでこいつのこと好きになったってか?はは、おい俺ー。って別に好きじゃなくて気に入ってるだけだって!
「おい。サーブどうする?」
「あ。お前からでいいよ」

正確に飛んでくるボール。やっぱり性格って出るのか日吉のテニスは几帳面な感じがする。俺と日吉は遊びって程でもなく本気って程でもない加減で打ち合う
「日吉ー」
「なんだ」
パコン、パコン、一定の間隔で伝わる振動
「実はおれ今日誕生日」
「ふーん」
「ふーん、てお前さ。なんかないの」
「良かったな」
「気持ちこもってねー」
少し強めにボールを打つ
「なんだよ、俺に祝われたいのか」
「まさか」
でもおめでとうくらい言おうぜ、ばかやろー
返ってきたボールも少し強めで勢いを殺しながら打ち返す
「なんか欲しいもんでもあんのか」
「んーとくに。あ、」
「なんだよ」
「かわいい女の子からキスとかー?」
「ばかか」
「うっせぇ。テメェには言ってねぇだろ」
「当たり前だろ」
いきなり前に落とされて反射的にダッシュしてボレー
そのままボールは拾われる事なく転がる
「んだよ。いきなり」
「いいだろ、とれたんだから」

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