素敵小説

□思い込んでも無駄なんだ
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そしてたどり着いたのは人っ子1人いないテニス場。そうだよ、今日平日だよ。誰もいねぇだろ。あー…せっかくここまで来たのに壁打ちかよ…
なんかやる気も削がれてテニスコートに寝転がった。少し暑いけど前より涼しくなったって言える。過ぎていく風が気持ちよくて目を閉じた。微妙に腹減ったなぁ…今何時だろ、携帯忘れたし
そんなことをつらつらと考えてるといきなり閉じてた瞼ごしにも届いてた日の光がかげった
「おい、邪魔だ」
不機嫌丸出しの声も降ってきた。あれ、俺この声知ってるよ。いやでも今日平日だろ?まさかな〜まさかだよな〜
「邪魔だって言ってんだろ」
脇腹に軽い衝撃。思いきって目を開けた

「……なんでいんの」
「いちゃ悪いか」
そんな訳ねぇよ。言えないけど。見上げると見慣れたって程じゃないけどよく知っている顔があった。氷帝の二年。日吉若
テニスラケットを持ってるってことは俺と同じ理由だろう
「なんだ、サボリ?」
「まさか、お前じゃあるまいし。学校が休みなんだよ」
「俺だってサボリじゃねぇよ。俺も学校振替休日」
「ふーん、というかどけろよ。邪魔」
ここまでの会話、日吉ほぼ棒読み。唯一感情が籠もってるなって思ったのは最後の邪魔、だけ。どんだけ他人に興味がないんだ、こいつ。なんとなく悔しい
「あー無理。力入んねー。ん、」
そう言って両手を前に突き出す。日吉は舌打ちしながらその手をとって引っ張った。上がる体温。
認めたくねーけど、俺の勘違いだろーけど、何故か、俺は、こいつが、えーと、気に入ってる?みたいで、
はっきり言って俺はこの気持ち認めてねぇけど、でも気づいちまったってゆーか。あー俺はっきりしねぇぇ!!
そんなわけでこんな風に手とか握っちゃったらなんか、こう、どわぁぁぁぁ!!!



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