素敵小説

□きっと、言葉じゃなく
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どのくらい経ったのか日吉が席を立ってはっとした。目を開けたまま寝てたみたいな感覚。てか寝ぼけてたのか俺。部活そろそろ始まんのかな

そう、俺は寝ぼけていて、無意識に思った事なんて覚えているはずもなく、そして深く考えることも出来なかった。
日吉がいきなり後ろから話しかけてきたから

「何か用ですか」
「ぅおわ!」

驚いた。なにコイツ気配なかったんですけど!
「いきなり出てくんなよ!」
「いきなり出てきてませんよ。声かけたじゃないですか」
「声かける前振りをしろ!」
「なにむちゃくちゃ言ってんすか」
あれ、なんか拗ねた?うわーこんな日吉初めてみた

「で、何か用ですか」
問いかけなのに全然疑問形じゃない
「は?用って?」
「だってさっきからずっとこっち見てたじゃないですか」
「……なんで分かるんだ」
確かに俺はぼーっとしてたけど目があったら流石に気付く
「気配とか、視線とか、結構分かるんですよ」
「へぇ」

渡り廊下の小さな塀と、ベンチの背もたれ越しの距離
日吉の目線は下に、俺の目線は日吉に
ぎこちない距離。そういえば鳳とはよく話すけどこいつとはあんまり一緒にいたりとかしないんだよな



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