空似の二人[♀と♂]
□[4]転機の時
1ページ/12ページ
それから学校を出てそのまま道場に走り、30分後勇は息を切らして道場に入った。
「勇、遅かったな!」
『オスッ!遅れてしまい、すいませんっした!』
「…すぐにやれるか?」
『オスッ!』
「「…」」
「よし!…では、型の練習から始める…始めぇ!!」
『オスッ!』
勇が道場に入り早速師範から稽古を着けてもらってるなか周りに居る道場の仲間は黙って勇の型の練習を見守る。
「…アイツが稽古にこんな遅れてくるなんて珍しいな…」と森重奏助。
「うん…学校で何かあったのかなぁ?」とロミオ・ジーン。
この二人は勇と特に親しくしてる同期で同じ年の幼馴染みの親友だ。
「なんだぁ?彼女でも出来たのか〜!?クソー!羨ましいやつだぜぇ!ったく!顔が良いやつはよ〜!」と同じ年で一つ後期に入門した、江ノ上大吾(エノウエ ダイゴ)
「「……」」とそんな大吾の発言に呆れた顔をして見た奏助とロミオ。
「な!何、俺の顔を見て黙ってんだよ!お前らぁ!…俺、何か変な事言ったかぁ?!」と大吾は何か言いたげな二人に声を上げた。
「べ・つ・にー!気にしないで良いよぉ…大吾だしぃ」とロミオは呆れ返った様に大吾に突き放す言い方をした。
「はぁ…」と奏助はこんなやりとりに小さなため息をはいた。
「何だよぉ!大吾だしって!…だいたい、お前らいつも一緒にいてキモいんだよ!ホモか!?…ってか、特にお前らは俺を普段からなめてんだろ!あ!?」と大吾は二人の態度に文句をぶちまけた。
「いやいや!…なめてはいないよ(笑)…眼中にないだけだよ♪(微笑)」とロミオはそんな大吾に怒りなど一つ見せずに軽く笑顔であしらった。
「ドチクショーめ!」とロミオの言葉に悔し涙を浮かべる何事もストレートな大吾は道場の中でもお構い無しに叫んだ。
大吾…
「そこ!騒がしいぞ!…鍛練をしている者の邪魔をするつもりならここから出ていけ!(怒)」とさすがの騒がしさに師範からの一喝。
「っ!?す!すいませんっしたぁ!!」と大吾はあわてて大きな声で師範に頭を下げて謝罪した。