短編

□バレンタイン・ラブ
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今日はバレンタインデー
それは女の子にとって一大イベント

ふと、私の頭に浮かんだのはつるのさんに語ったとある夢だった

「私、一度でいいからこんなに大きなバラの花束を貰うのが夢なんです!」

「そんなに大きいのは無理でしょ」

両手を広げながら言った私に呆れたように笑うつるのさん

いつか叶ったらいいな、なんて思っていたりしていた

「……つるのさん、遅いなぁ」

今日は早く終わるって言ったんだけど、少し遅いような…

「せっかく一生懸命作ったんだから、今日中に食べて欲しいのに…」

料理本を見ながら必死に作ったチョコケーキ

つるのさん、喜んでくれるかな…
あぁ、ドキドキしてきた!

その時、玄関で音がした
つるのさんが帰ってきたらしい

「おかえりなさい、つるのさん」

私は玄関まで走って行ってつるのさんを出迎える

「ただいま」
そう言って微笑むつるのさんに私はチョコケーキの入った箱を差し出した

「はい、つるのさん
バレンタインのチョコです♪」

「おー、いつもいつもありがとね」

「ふふっ、今年のはいつもより手を込んでみたんです
味わって食べてくださいね?」

「うん」

そう言って私の頭をくしゃくしゃしながら頷いたあとにっこり笑った

「今日はまいちゃんにプレゼントがあるんだよ」

「え?私に?」

びっくりして自分を指差すと
「そう、まいちゃんに」

「え、なんですか?」

「まだ車の中だから取ってくるよ
まいちゃんは先にリビングに行ってて」

「あ、はい」と返事をするとリビングに戻った


つるのさんのプレゼントってなんだろう…

チョコレートかな?それとも…

わくわくしながらつるのさんを待っていた時だった

ふわっと甘い香りに広がるのと一緒にバラの花束を差し出されたのは

「え…」

驚く私を見てつるのさんはイタズラっぽく笑った

「驚いた?」

「驚いたもなにも…。え、なにこれ」

「バラの花束?」

クスリと笑うつるのさん

「そうじゃなくて、どうしたんですか?これ」

「ずっと前にまいちゃん、言ったでしょ?
大きなバラの花束が欲しいって」

「言いましたけど…覚えてくれたんですね…」

「当然でしょ、愛する君が言うことは忘れないよ」

「…ありがとうございます!
スゴく嬉しいです!」

花束を抱き締めて笑う私の耳元につるのさんは唇を近づける







私はあなたを愛する
俺は君を愛してる―
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