マ王

□恋愛の始まり
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猊下が俺を見ていたのは知っていた。

それは最初、まるで品定めをするような感じで。
きっと陛下の臣下としてどうか、猊下なりに探っているのだろう。そう思って気づかないふりをした。特に嫌な視線ではないし、それにヴォルフやギュンター、グウェンのことも同じ視線で見ていたから。

でも最近は違う。

どこか暖かくて、優しい。

そんな視線が俺に向けられるようになった。

他の皆もそうなのかと思って見ていたら違うようで。どうやらその視線は俺だけのようだった。

その視線の感じは知っている。それなりに生きてきた人生の中で何度か経験した視線だから。

だけれど、こればかりは違うのではないかと疑ってしまう。
思い違いなのではないかと思ってしまう。

だって…


(あの猊下が俺に…?)


俺はその答えを知るためか、無意識のうちに猊下を視線で追うようになっていた。




それは恋愛の始まり。


end
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