マ王
□恋の始まり
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ヤバい
そう思い始めた時にはもう遅い
あとはズルズルと落ちるだけ
【恋の始まり】
渋谷からウェラー卿の話はよく聞いていた。
勿論、ウェラー卿の話だけではない。フォンビーレフェルト卿やフォンクライスト卿、フォンヴォルテール卿などの眞魔国の皆全てを飽きることなく話してくれる。
ただ、やはり渋谷の話題にはウェラー卿が結構出てきたりする。渋谷に甘い名付け親のウェラー卿は余程、渋谷に懐かれいるようだった。
だからだろうか。
度々、僕はウェラー卿を見るようになった。
本当に爽やか笑顔が絶えないな、とか。
本当にそつがないな、とか。
本当にギャグが寒いな、とか。
そんな風に渋谷の言ったことと比べたり、彼に甘いなって思ったり。最初は本当にそんな程度だった。
なのに。
次第に見る回数が増えていって。それだけならまだしも、それが無意識に行われていて。
あぁヤバいなって思い始めた。正直、焦っていたのかもしれない。
この感じは知っている。記憶にある。
あの感情を抱く前の行動。
でも、本当はもう遅いんだってことも知っているんだ。
気づいた時には、もう時はすでに遅し。
その気づいた瞬間が恋の始まりだから。
end