マ王

□おかえり
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「…痛い」


後ろから抱きしめながら、僕の肩に顔を埋めている大きなオレンジの犬ーーヨザックにボソリと呟いた。



【おかえり】



ことは数分前。
時間で言えば2時を過ぎた頃。

さすがにこの時間になると眠気が襲ってきて、欠伸を数回噛みしめた。

ちょうど読んでいた本がキリがいいところだったから、僕はしおりを挟むと目の前にあるテーブルに置く。そして、置いてあった紅茶を飲み干すと、ソファから立ち上がり背伸びをした。

長時間同じ姿勢で読み続けていた為に、筋肉が固まって腕や肩を動かす度に気持ちがいい。数回腕を回して再び欠伸を噛みしめるとベッドにフラフラと足を進めて、ベッドに腰掛ける。そして、さあ寝ようと思って眼鏡を外しかけた。そう、言葉通り未遂で終わったのだけど。



彼、ヨザックはちょうど眼鏡のフレームに指が触れた時にやって来た。
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