一之倉聡

□すべては順調@<闘う女>
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一目ぼれだった。一目ぼれに理由なんてない。私にはもうその人しか見えない。好き。大好き。私はこんなに好きだからあなたにも好きになってほしい・・・


私が一之倉先輩を見たのはバスケでではなく、マラソン大会の時。私達女子は先に走り終わってたから校門近くで男子が帰ってくるのを友達と待っていた。友達は陸上部の先輩が見たさに最前列をキープしており、私は付き合いでその横で紙パックのジュースを飲みながらの観戦。この時の私は知らなかった。陸上部にも勝るお方がいるということを。それも坊主でそこまで身長は高くないけどとってもステキで・・・私は一目で一之倉先輩を好きになってしまった。どうしようもないこの胸の高鳴り。寝ても覚めても先輩のことばっかり考えてしまうほど好き。だから私は決めた、絶対に先輩を彼氏にすると!

でも残念なことに私と先輩は接点がない。せめて同い年だったら・・ううん、後輩ならではの初々しさを出せる。これが年下の強み。迷ってる時間なんてないんだ。先輩が誰かに取られてしまう前に私のものにするのよ。

今は教室移動の時間。まずは「あの子誰だろう、かわいいな。」から。先輩が来たわ。よし、今だ!

ドンッ
「うわっ」
「きゃ、ごごごめんなさい!」
「俺こそごめん」
や、やさしい!それに落とした教科書も拾ってくれて・・ほんとはここでしゃがんで太ももをギリギリまで見せるという計画だったんだけど。まあおかげで先輩の手に触れることができたし!もちろんその時も恥ずかしがるのを忘れない。

これは王道だよね。題して「なんか視線感じる。でも目が合ったらそらされた」作戦。

部活中はずっと先輩を見つめ続ける。ああもうなんてかっこいいの!?汗流す姿も汗拭く姿もドリンク飲む姿も全部がかっこいい。でも先輩全然こっち見てくれないなあ。ううん、諦めちゃだめ。見つめて見つめて・・・ってなんで沢北が気づくのよ!
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