桜並木口

□桜接吻〔さくらきす〕
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桜の花びらが降って来た。

薫殿との或日の散歩の途中に寄った道草。

大きな桜の木、小さい桜の木。

薫殿の後、見守る様に歩く。

時たま、薫殿が振り返り話をしてくれるのが嬉しくて。

薫殿を桃色の桜が彩る。

綺麗で。

見つめたくて。

いつまでも。

愛していたくて。

いつまでも。

側に居たくて。

いつまでも。

居て…欲しくて…。

いつまでも…。

そんな事をふと、想い願う。

掌に落ちた花びら一枚。

何だか、薫殿に似ている。

優しい色か?

さりげない存在感か?

人を惹き付ける処か?

薫殿がまた笑顔で振り向いて話をしてくれる。

大した事ではござらぬが、其がまた嬉しくて。

表情がつい柔らかくなってしまう。

こんな拙者をまた弥彦や左之はだらしないと笑うでござろうか?

しかし…。

そんな事は何でも無く、今。

只、こんなに心が自然になるのが安らぐ。

今、拙者にとって其が大切で続けたい現実。

永く続きます様に…。

願いを籠めて。

掌の桜の花びらに接吻。



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