宝物(ブック)

□囚─トリコ─
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「なあ、わざとやってんのか?」







表情の読めないユーリが、リオンにしか聞こえない声で囁く。




「んー!」

頭を横に降る。




『違う!』

という声は、口にくわえさせられた布にとられてしまった。






リオンは、口を塞がれ、手足を縛られている。



ことの始まりは些細なことだった。






久しぶりに二人で城下町に買い出しに出ていた。

ユーリが、ある店に忘れ物をしたのだ。



リオンは、荷物と一緒に、戻ったユーリを待っていた。




すると、街灯下のリオンに、数人の男が群がってきた。



独り?
荷物重そうだね。
一緒に運ぼうか。




口々にリオンに声をかける。



煩い。
ーー上に、完璧に女だと思われている。




相手にせず、無視を決め込んだ。




つれねえの。


そう言って、主格らしい男の手が触れた。






その瞬間。





「オレの連れがどうかしたか?」





いつにない笑顔のユーリが、そこにいる。
リオンは、安堵のため息をついた。

ユーリの威圧的な眼に怯んだ男達は、連れがいるなら言えよな。と古典的な捨て台詞を吐いた。






再度、次は男達に呆れたため息をつく。




「遅かったじゃないか、ユーリ。お陰で・・・」
「・・・」





ユーリの手が、リオンの手首を持った。

と言うか、掴んだ。




痛みを伴うほどの強さで。









「・・・ユーリ?」

荷物を置き去りに、歩きだす。



「ちょ、ユーリ!荷物は・・・っ「後でフレンにでも来させる」な・・・、どうしたんだ・・・!?」





尚も歩くのをやめない。

町の宿に入り、女将に二人部屋よりも多く金を払った。
貸しきりにする程の、金額。




荒々しくベッドに叩き付けられる。


ーーそして、冒頭の状態だ。







「オレを待ってるからって言えば絡まれなかったんじゃねえの?」

ユーリの眼には、リオンが誘いを受けているように映ったのだろうか。





見るからの雑魚で、無視していただけだというのに。






「ん、!!」
違う、と首を振った。

涙が滲む。





このユーリには覚えがある。
スタンとの関係に嫉妬した、ユーリだ。





無言のまま、タイツを裂かれ、素肌に触れた。
初めてのことに、怯えを抱く。




「今日はわかるまでやってやるよ。」



前のじゃ足りなかったんだな。
と、笑う。



ーー目が全く笑っていない。





「(ユーリ!)」
必死に名を呼ぶも、何を言っているかわからない。



後孔に手を触れ、慣らさず一気に自身を挿入した。

肉が割ける感覚に、声にならない呻きを漏らす。





「力抜けよ。」



感情なく、言いつけられた。





幾度となく体を繋げている。

とはいえ、いつも丁寧に前戯を施す、彼。




「んん"!っ、ぐっ!!」


血液で、なんとか動く程度。
動かれる度に激痛が襲う。


縛られた手に力が入り、手首にも傷ができた。




「(痛い・・・!)」




混乱と辛さで朦朧とする。
直ぐに、痛みで現実に引き戻される。




「勃ってんじゃねえか、淫乱。」




ハ、と嘲るように笑われた。
羞恥で顔を更に赤らめる。




痛い、のに。
ユーリと体を繋げることに、少なからずの快感を得てしまう。

口の拘束を解いた。





「は、あ、く・・・」
肩で息を吐く。





「リオン。ごめんなさい、は?」



知り尽くされた躯。
的確に、弱いところだけを衝く。




「ごめ、なさ、あ、ああ!」





びく。肌のぶつかる音。
新しくないベッドの軋む音。





「聞こえねえな。」




ユーリの表情に、いつもの余裕が戻った。



「ごめ、なさい!ユーリ、ごめんなさ、い・・・!」


涙で濡れた顔。
痛みだけの涙では、既にない。





「良くできました・・・っ!」



動きが早まる。
最奥に突き戻した瞬間、白濁を放った。




「ーー!!」

リオンは、そのまま気を失った。












もう二度と、この男には逆らうまい。






この男に囚われた。





確かに、それを感じた。
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