リクエスト小説

□姫とり合戦
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「ユーリッ!!」



建物中に響いたのではないかという怒鳴り声に、名を呼ばれた張本人はそ知らぬ顔で入って来た人物に爽やかに挨拶する。


「よっ!そんな怖い顔して、どうしたんだフレン?」

「どうしただ?って、君の所の仕事がどうして僕の所に来るんだ!!」


フレンは少し分厚い資料を突きだす。

その資料の文字を視線で追うと、ユーリはしたり顔になった。


「やっぱり、仕事早ぇな〜サンキュー!」


少しも悪びれないユーリの態度に、フレンの肩がわなわなと震える。


「ユーリ!君という人は何でいつもいつもこうなんだ!自分とこの仕事ぐらい自分らでどうにかしようと思わないのか!!」

「一応、やってるぜ?」

「やってない!だいたい、生徒会の仕事を風紀に持ってくる方がどうかしている!」


フレンの怒りはそこにあった。

ユーリは生徒会長。

フレンは風紀委員長。

学校の風紀を守るはずの風紀委員が、何故か生徒会の仕事を回されていた。


「まぁ、そう起こるなよ。俺はお前を信用してんだからさ」

「そういう問題じゃない!僕にも僕の所の仕事があるんだ!なんなら、君も更生してあげようか?まずは、その服装からだ!」

「別にいいじゃねーかよ。指定の制服は着てるんだからよ」

「君はもう少し、立場と言うものを考えたらどうなんだ!?君は生徒会長だろう!生徒の模範にならないといけないだろ!」

「へいへい」


まだまだ続きそうな説教に、ユーリは適当に返事をし、視線をフレンから外に向けた。



「おっ!」


ユーリは何かを発見したようで、立ち上がり窓へと近づき、その光景を確かめる。


「ユーリ、話の途中だ」

「まぁまぁ。それより、お前の仕事っぽいぜ?」


視線を外さずに、来いよと手招きする。

フレンも半信半疑で窓に近づくと、その光景に眉間に皺を寄せた。


「かつあげかリンチか……さぁ、どれだろうな?」

「はぁ。ああいう輩は本当に、減らないね……ん?あれって」


フレンが複数の生徒に囲まれている生徒に気が付いた。


「どうした、フレン?」

「あれ、リオンじゃないか?」

「!!……じゃあ、あれ、リンチとかじゃなくて…」


さすがにそれから先の言葉は口にしなかったが、ユーリもフレンもそれを考えると顔から血の気が失せる。


「ははっ、……あいつらいい度胸じゃねーか」

「そうだね。身の程を知って貰わないとね」


『リオンが誰のものか思い知らせてやる!』


不気味な笑みを浮かべた2人は、急いでその現場に向かった。




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