リクエスト小説

□板挟み
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目が覚めると知らない人物がいた。

目の前にいるのは金髪でエメラルドグリーンの上着を着ている。

どことなくシャルティエに似ている気もするが、リオンの知るシャルティエとは似ても似つかない。

なんせリオンの知るシャルティエは、銀髪で髪の色とよく似た服を着ているからだ。


「誰だ、貴様。僕が誰だか分かっての事か?」


ベッドの横に立てかけてあるシャルティエを掴もうとするが、そこにはあるはずの物がなく、内心で舌打ちをする。

体格的にリオンと然程変わりはないだろうが、上から乗っていると向こうの方が力は上になる。

どうすればこの状況を打破出来るかと考えを巡らせていると、乗っかている人物が口を開いた。


「いいなぁ〜もう1人の僕は。こんな可愛い人がマスターだなんて」

「何を言っているんだ?もう1人の僕?マスター?」


その言葉から導き出せるのは、ソーディアン・シャルティエだけだ。

何が何だか分からないリオンの元に、慌ただしく部屋に入って来る人物がいた。


「ぼ、ぼぼぼぼ坊ちゃぁぁぁぁぁぁん!大変です!大変なんですよ!僕が!僕が!……て、あああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


1人バタバタとしているシャルティエは、リオンの上に乗っている人物を指して叫んだ。


「朝からうるさいぞシャル!」

「す、すみません!そんなことより、大変なんです!」

「何が大変なんだ?!どう見ても大変な状況は僕の方だろ!」

「ですから、坊ちゃんの上に乗ってるその人物は僕のオリジナルです!僕が分裂しちゃいました!」

「はっ?えっ?!」


リオンは一気に捲し立てたシャルティエの言葉を頭の中で整理する。


「お前のオリジナル?なら、こいつもシャルなのか?」

「そうです!」

「いや、それにしても……えっ?」


あまりの外見の違いに、信じられない状態だ。


「こんにちわ。僕はピエール・ド・シャルティエです、未来のマスター」


にっこりと微笑み自己紹介をする彼をシャルティエ本人だということを受け入れなければならなかった。






事の発端はこうだ。


レンズの力を借りて人型になれるシャルティエ。

それに興味を持ったレイノルズが昨日、リオンの隙を見てシャルティエを抜き取り、実験をしたのだ。

途中でシャルティエの悲鳴を聞き、レイノルズから奪い返したが、それは実験を途中で中断させてのことだ。

それがまずかったのか、早朝、自分の力ではない別の力が働き、気が付けば人型になっていた。

まだそこまでは良かった。

目の前に、見覚えのある姿があった。

それがオリジナルのシャルティエだった。

これはさすがにヤバいと思い、リオンの部屋から連れ出した。

自分の過去に少々いやかなり触れらたくないシャルティエは、何かいい案は無いかと思い策を練る。

あまりにも集中し過ぎたせいか、肝心のオリジナル・シャルティエから目を放してしまったのだ。

そして、冒頭に至った。




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