リクエスト小説
□一時の休息
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「はぁ………」
リオンは目の前の状況に溜息を吐いた。
(どうしていつも、こいつらに流されてしまうのだろうか?)
リオンの前には、旅館に泊まり来て嬉しそうに笑い合っているユーリとアスベルがいた。
* * *
それは数時間前のこと。
ギルドの討伐依頼に、アンジュによってリオン・アスベル・ユーリというメンバーが組まれた。
皆が甘党ということもあり、気心知れた仲でもあるのでメンバーに異論を唱える者はいなかった。
それに、互いの腕もありすぐ片付くと踏んでいたのだったが、思った以上に時間がかかり、気が付けば日は傾いていた。
ギルドを出た時間帯もお昼を過ぎていたので、仕方がないと言えば仕方がない。
「そう言えば、この辺りに温泉で有名な街があるらしいな」
「あ!それなら俺も聞いたことある」
(何だか、嫌な予感がする……ι)
リオンは2人から少し距離を取った。
「確か、すぐ近くだ」
「へぇ〜じゃあ、せっかくだし温泉にでも行こうぜ!」
「温泉かぁ〜いいけど、アンジュに報告しなくても大丈夫だろうか?」
「大丈夫だろ。それにこの時間だ。戻らなくても心配ない」
「そうか、なら行こう!」
アスベルもその有名な温泉に一度は浸かってみたいのだろう、目が輝いている。
「決まりだな。じゃあ、行こうぜリオン」
「……お前たち、2人で行って来い」
「俺はリオンとも行きたいんだが」
アスベルが苦笑しながらも、リオンを誘う。
「それに三人で行けば、きっと楽しいに決まっている!」
「僕はそうは思わないが?」
「行ってみないと分からないだろ。立ち話する暇があったら、とっとと行こうぜ」
ユーリは無遠慮にリオンの肩に腕を回す。
「ちょっ?!」
「ユーリの言う通りだ。ほら、行こうリオン!」
アスベルはユーリがいない方のリオンの腕を掴む。
2人して無理矢理引っ張る。
「おい!放せ!おい、聞いているのかっ!」
リオンの抗議も空しく、2人には届いていなかった。
一か八かと抵抗もしてみるが、長身の2人には敵わず、無駄な体力を消費するだけとなった。
こうして半ば引きずられる様にして、リオンは連れていかれるのだった。
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