リクエスト小説
□insanity
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ギィ……、と開けられた扉。
開けてすぐに鼻孔をくすぐるのは、血の匂い。
そんな血の匂い中に、ほんの微かに性の匂いが混じっている。
その部屋の中は、側面にロウソクが立てられている。
明かりはロウソクの火の明かりだけで、それ以外の明かりは何もない。
そんな部屋の中央に青白く浮かび上がる人影が一つ。
その人影は横たわっており、ピクリとも動かない。
でも微かに肩が上下しているので、生きてはいるようだ。
さらに良く観察すれば、首には首輪が付けられ、首輪からは鎖が伸びている。
その鎖を辿れば、壁と繋がっている様だ。
鎖と首輪で繋がれている人影を見れば、少年のようだ。
元々色が白いのか、その顔はさらに青白く血の気がほとんどない。
次に首から下を観察すれば、至る所に鬱血痕や打撲の痕が見受けられる。
お腹には斜めに走った大きな刀傷。
そこは完全に治りきっておらず、うっすらと血が滲んでいる。
お尻から太ももにかけては、血と白濁とした液が流れている。
それらもまだ乾ききっていないようだ。
そんな少年の元に1人の青年が近づいてくる。
「ふふふ、元気にしてたかい?」
少し高めの声がその部屋に響く。
「今日もキミは美しいねぇ〜」
「………っ、ぅ゛」
青年は少年の髪を掴みあげて体を起こさせる。
髪を引っ張られた痛みに、少年は呻き、顔を歪ませる。
「ほんと、その表情たまらないよ……」
青年は苦痛に歪む少年の顔を恍惚とした表情で見つめる。
「あぁ、そう言えば……今日もあの人たち懲りずに来てたよ。僕に敵うはずもないのに、いつもいつもいつも…ふふ、バカみたい」
青年は力任せに少年の体を床に叩きつけた。
「ぅあ゛!……、っ、ぁ…」
体中に痛みが走り、少年の体は小さく震えている。
「キミはもう、僕のものだというのにねぇ……そう思うだろ、リオン?」
「……サ、レ…」
少年・リオンは、前髪の隙間から青年・サレを力のない瞳で睨んだ。
「へぇ〜…まだ、そんな目が出来るなんて僕は嬉しいよ」
サレはまた髪を掴みあげる。
「ぐぅ……、サレ…、っ」
「いいねぇ…ぞくぞくするよ。ほら、もっとその目で僕の名を呼びなよ」
さらにぐっとリオンの髪を引っ張るサレ。
「ほんと、キミは美しいよ」
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