企画小説
□Shall we dance?
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「ダンス、パーティですか?」
「そうだ。向こうはお前を指名してきた」
国王に呼ばれたフィンレイは、何か重要な任務かと思ったので、少し拍子抜けしている。
国王が言うには、ノイシュタットのとある貴族がダンスパーティを開く。
それにセインガルドからも1人は派遣しなければならなかったが、向こう直々にフィンレイを指名してきたのだった。
「私は構いませんが、何故また私を?」
「私にも分からん。まぁ、特に何も無いと思う。純粋に楽しんでくればいい」
「でしたら、リオンも連れていってもよろしいでしょうか?」
パーティに出席すればいいのは1人なので、もう1人誰かを連れていくことはしなくて良かった。
それでもリオンを推薦するのは何かあるのかと思い、国王は問う。
「リオン、をか?普通なら、女性を同伴させるものだろう?」
「そうですが、リオンにこういった社交場を慣れさせたいと思いまして。それに、リオンなら大丈夫ですよ」
何が大丈夫なのか、フィンレイの言っている意味は分からないが、彼がそういうのだったらと国王も承諾した。
* * *
「ダンス、パーティですか?」
これまた師匠と同じ反応をする愛弟子に、笑いを堪えながらフィンレイは説明する。
「無理なら構わないが…」
「いえ!大丈夫です。それはいつの話でしょうか?」
「今日だ」
「え?はっ、え?!きょ、今日ですか?!」
今日だと聞いて驚くリオンにフィンレイだけでなく、他の7将軍も笑いを堪えている。
これもフィンレイと同じ反応だったからだ。
「何か用事でもあったか?」
「いえ、特には」
「そうか。なら、良かった」
フィンレイはポンポンとリオンの頭を撫でる。
心なしか、リオンの頬が赤い。
「ダンスパーティだから、礼服をそのまま着ていくのでしょう」
「あぁ。ミライナ、頼めるか?」
「えぇ、もちろんよ!」
フィンレイとミライナの意味深な笑みに、残りの7将軍の面々は勘づき、リオンは何が何だか分からず1人取り残されている。
それからしばらくしてリオンが地獄を見るはめになった。
「い、嫌です!ミライナ様、おやめ下さい!フィンレイ様も助けて下さい!」
リオンの両脇をリーンとアシュレイががっちりと固めている。
ミライナは楽しそうに女性のドレスを持ってリオンに迫って来る。
それをフィンレイは楽しそうに見ているだけだった。
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