企画小説
□夏は海で×××!
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「夏と言えば海!」
そうお決まりの言葉を言うには、少し時期が遅いこの頃、それを堂々と言うスタンには呆れを通り越して脱帽する。
「でも、こんな時期にまで海開きしてるなんて珍しいわね」
「何でもこの辺の気候は、他のどの地域よりも温かいそうですよ」
「へぇ〜だから、この時期までやってるのね」
女性陣たちは水着に着替え、パラソルの下で日焼け止めを塗っている。
スタンは海パン一つで、海に大はしゃぎだ。
リオンは少し離れた場所で、肌を日に晒さないよう上着を着、一応海パンには着替えている。
「前々から白いとは思ってたけど、あいつ本当に白いわね!きぃー、憎たらしい!」
肌の白さではあまり変わらないと思っていたが、脱げばもっと白いリオンの肌にルーティが悔しがっていた。
「なぁ、ルーティ!海で遊ばないか!」
年齢の割には一番楽しみにしているマリーは、片手に浮き輪、片手にビーチボールを持っていた。
「マリーったら……もう、仕方ないわね!ほら、フィリアも行きましょう!」
困惑するフィリアを強引に連れていき、海でジョニーとはしゃいでいるスタンと海で遊び始めた。
リオンはそんな彼らを呆れた顔で眺めていた。
「子供か」
『えー、坊ちゃんは遊ばないんですか?』
「何だ、シャル?お前は遊びたいのか?」
『海に来て遊ばないわけはないでしょう!海に浮いているだけでも楽しいじゃないですか!』
リオンは海に浮いているシャルティエを想像する。
浮き輪の上に置かれた剣を想像して、どこが楽しのだろうかと思ったが、敢えて口にはしなかった。
「サビてもいいなら、海に放りこんでやるぞ?」
『や、止めて下さいよ坊ちゃん!』
「ふっ、冗談だ。それにしても、熱いな…ι」
『大丈夫ですか?海に入った方が、暑さはましになるかと!』
「お前はどうしても僕を海に入れたいんだな」
シャルティエと話ていると、皆の輪から離れてスタンがこちらに来ていた。
「リオン、お前は海に入らないのか?」
「入らない。それに、お前たちと馴れあうつもりもない」
「じゃあ、俺と2人だけで入らないか?」
「だから、僕は入らないと言っているだろう!」
「まぁ、そう言わずに!なっ?」
嫌がるリオンを無視して、スタンは強引にリオンの腕を引っ張った。
「おい、スタンッ!」
「大丈夫だから!皆には見えない所だから!」
「見えないって、どこに行く気だ!」
「さっき、そこで大きな岩影を見つけたんだ!飛び込みが出来そうな程の!」
明らかにそれが目当てだろうスタンの行動に、リオンは呆れて返す言葉も出なかった。
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