企画小説
□偽り
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幼いころは家族の愛というものを羨んだこともあった。
父に認められたいと、自分を見て欲しいと何度も思った。
それが、願わない方法で実現するなど思いもよらなかった。
* * *
夜、ヒューゴに呼ばれてリオンは彼の私室へと向かった。
部屋に入れば、ヒューゴはまだ執務を行っていた。
「ヒューゴ様、御用件は?」
「お前も1人で充分に任務をこなせるようになったな」
「ヒュ、−ゴさま?」
「ゆっくり2人になろうか。寝室へ行っておきなさい」
予期せぬヒューゴの言葉に、リオンは不審に思ったが、いつもと違う態度に、どこか気持ちが浮ついていた。
寝室へ消えていくリオンをヒューゴは横目で確認した。
その時、ヒューゴが意味深な笑みを浮かべたのをリオンは知らない。
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