企画小説

□君の前では
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旅の道中、モンスターを退治してからのしばしの休息時、いつものことながらリオンは皆の輪から外れていた。


「お〜い、リオン!お前もこっちで一緒に休まないか?」


1人別の木の影で休んでいるリオンの元に、スタンがかけよってくる。

だが、リオンはスタンを軽く一瞥すると首を横に振った。


「断る。僕は、お前らと馴れあうつもりは無い」

「そう言うなって!な?皆と話すと楽しいぞ!」

「うるさいの間違いだろう」


スタンがどれだけ説得しても無駄だった。

そんな2人のやり取りを見兼ねたルーティが、スタンに声をかける。


「意地っ張りのガキンチョなんか放っておきなさいよ。無駄よ無駄!」

「さっさとそいつを連れていけ」

「分かってるわよ!ほら、スタン行くわよ!」

「え?あぁ、うん!リオン、今度は一緒に休憩しような?」


次の約束を取り付けるが、それが叶うことはない。


その日の夜、宿屋に泊り、夕食を皆で取り終わった頃、マリーが厨房を借りて、デザートを作ってきた。


「さすがマリーね!おいしそう!!」

「うわ〜うまそう!」

「皆、いっぱい食べてくれ!」


テーブルの上には、たくさんのデザートが並べられる。

皆がデザートに目を輝かせている中、リオンは椅子から立ち上がる。


「あれ?リオンは食べないのか?」

「いらん。甘いものなど必要ない」


リオンはスタスタと部屋へと戻っていった。


「せっかく、マリーが作ってくれったいうのに!一口ぐらい食べていってもいいじゃないの!」

「ルーティさん…ι」

「なら、俺が持っていくよ」

「あんたが持っていっても余計食べないと思うけど?」

「そうかなぁ〜?」

「そうよ!そんなことより、早く食べましょうよ!!」


ルーティを筆頭に女性陣はデザートを口にし始めたが、スタンはリオンが気になって仕方が無かった。


「俺、リオンに持っていって来るよ!」


2人分のデザートを持って、スタンはリオンがいる部屋へと向かった。




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