企画小説

□それは必然
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客員剣士としての任務を終えて、すぐにヒューゴに呼ばれた。

次の任務は、ヒューゴかららしい。


どこか気持ちが沈んでしまう。

ヒューゴからの任務は主に、暗殺か男婦の真似ごと。

特に後者の方が多い。

時には、両方も。


国に仕えながら、国に背く行為を繰り返しているのは、その命令がヒューゴから下されるからだ。


どんな命令をされようと、リオンの内には、父に認めて貰いたい、こっちを見て欲しいという思いがあった。

だから、どんな過酷な任務でも耐えてこれた。

それに、そんな任務が下された夜、決まってヒューゴはリオンを抱いた。


いつもは任務を言い渡された後にリオンを抱くが、その日は違った。


部屋に呼ばれるなり、すぐにベッドに押し倒された。

あまりにも突然で、体が動かず、されるがままだった。

ヒューゴの方も、珍しくリオンに命令することなく、淡々と行為を進めていっていた。




「っ、あ!……は、んぅ」


奥にヒューゴのそれが押し入る。

普段ならリオンを蔑む言葉などごく当たり前のように飛び交っていたのに、今はその言葉一つもない。

どうしたのかと尋ねたくても、リオンにはその権利がない。


「ぁ、…ひゃ、ぁ…んぅ、ああ!」


徐々に絶頂へと追い詰められていく。


「……エミリオ」

「っ!!」


今ではもう呼ばれることのなくなった名を不意に呼ばれた。


「ヒュ……ち、ちうえ…?」


普段、父と呼べば怒られるのだが、今日はそれもない。


「エミリオ……」


怖くてあまりヒューゴの目を見ないのだが、恐る恐る表情を窺った。


「っ!!」


そこにはいつもの厳格な父の表情はなく、子を思う親の表情だった。


「エミリオ、愛してる」


突然のことで、頭が付いて行けない。

これまで言われたことがなかった。

今日はどうしたというのだろうか?

いつもの父ではない。

それでも、嬉しいと思う自分もいた。


「エミリオ…」


慈しむように頬を撫でられ、思わず目を細めてしまった。

欲しいと思っても得られなかった関係が、今は得られている。

このままこの時が続けばいいと思ってしまった。


「父上…、エミリオもお慕いしてます」


その言葉にヒューゴの目が見開かれる。


「嫌われている、と思っていた」

「!……そんなことありません!僕は父上にずっと…僕を見て欲しかった」

「!そうか。すまなかったな」


少し寂そうにいうリオンを慰めるように、唇に口づけをした。


「ふぅ、んんっ…」

「エミリオ、このままだと苦しいだろ?」

「っ///」


リオンは自分の状況を突き付けられ、急に羞恥心を感じた。

いつもと違って、ヒューゴと繋がっていることがこんなにも嬉しいと感じたことがなかった。

だから、余計にヒューゴのそれを感じてしまう。


「そう、締めるな」


体は正直で、無意識の内にヒューゴのそれを締め付ける。

ヒューゴもそのままでは苦しいのか、いつのまにか止まっていた動きを再開させた。


「あっ!……ん、ぁ、ぁぁっ」


動きが再開され、体が快楽を拾い上げている。


「いつもより、感じているな」

「そ、…れは…っ、んあぁっ」


それはいつもと違うからなどとは言えなかった。



「んっ、もっ……」

「いいよ。好きなだけイきなさい」

「ん、あぁぁぁ───!」


体に強いられる辛さはいつもより無いのだが、味わう快感が強く、リオンの意識が朦朧としてしまう。

ヒューゴが何か言っているが、遠のく意識の中でそれを聞き取ることは出来なかった。



「気を失ったか。エミリオ、私はいつでもお前を想っているよ」



それがリオンに届くことは無かった。



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