長編3
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炎が燃え盛る中、金属音と爆発音が響き渡る。
リオン1人に対して、4人の攻撃が襲いかかる。
それをリオンは軽々と避ける。
「4人って、邪魔だな。ごちゃごちゃしすぎ」
リオンから少し離れた位置で、サレが彼の隙を窺いながら呟いた。
「同感だな。連携どころではない」
何も考えずにただ攻撃を喰らわすザギと全員を巻き込むきで攻撃をするバルバトスに、ウィンガルとサレは呆れていた。
「これではリオンを殺すどころではなくなる」
「これだから戦闘馬鹿って嫌いなんだよなぁ」
「まぁ、奴らがこのまま殺されても私には関係ない。ガイアス様の作戦にも支障はない」
「はは、言えてる。ミルハウスト将軍も何であんな奴らを入れたんだか……」
「将軍にも考えがあってのことだ」
「どうでもいいけど……ウィンガルは気が付いてるよねぇ?」
サレはリオンの動きを見て、意味深な笑みを浮かべ、ウィンガルに問いかけた。
それにウィンガルも肯定する。
「なら、あの噂は本当かもしれないなぁ」
「だとすれば、こちらにとっては好都合だ」
含み笑いをする2人の視線の先にいるリオンは、襲いかかってきたザギを薙ぎ払っている所だった。
「ちぃっ!………っ!!」
「蒼破刃!」
ザギが着地すると同時に、別方向から剣圧が襲いかかる。
「邪魔をするな。殺されたいか?」
「お前の邪魔はしねーよ。だが、見てるのも退屈なんでね。1人、引き受けてやるよ」
リオンは敵に向ける殺気の籠った視線のまま、ユーリを見据える。
「俺にまで殺気向けんなよ」
「何だ、これぐらいで怖気づいたのか?こんなの………っ!!」
「おいおい、余所見してんじゃねーよ!」
リオン目掛けて、ザギが攻撃を仕掛けた。
それをリオンは避ける。
「いい加減、俺に殺られろよ!」
「……目障りだ」
リオンが剣を握り直した。
すると、再び2人の間にユーリが割って入るとリオン目掛けて、剣技を放った。
「っ!?……貴様」
その攻撃を受け止めても良かったのだが、下手すれば条件反射でユーリを切りかねない。
瞬時で判断を下したリオンは、攻撃を避け、2人から距離を取った。
「悪いな。俺にも戦わせろ」
「はははははっ!……いいだろう、てめぇーから真っ先に殺ってやらぁぁ!!」
ザギが標的をリオンからユーリへと切り替えた。
リオンは次なる敵に標準を定めるために、離れた位置で佇む2人を視界に入れる。
向こうから攻撃をしてくる気配はないが、臨戦態勢は整えているようだ。
2人のもとへと駆け出したとき、横から強力な一撃が放たれる。
「ワールドデストロイヤアァァァ!」
斧が力強く振り下ろされ、大地が震え、砂や瓦礫が巻き上がる。
「ちっ……!」
見た目以上に広範囲の攻撃で避けるのが精一杯だ。
避けた先には、離れた位置にいた2人が先回りしており、頭上からそれぞれ剣技を放つ。
その間合いは仕留められてもおかしくない距離であり、リオン自身も態勢を崩していた。
2人分の剣技を受けきるには無理があるだろうと思われ、ウィンガルとサレは余裕な笑みを浮かべた。
だがそれも一瞬で崩され、驚愕に目を見開いたかと思えば、次は忌々しそうに顔を歪めた。
リオンは2人分の剣技を受け止めていた。
リオンに掛かる剣圧は2人分以上のものがあるだろうに、それをものともせずに凪ぎ払う。
相手が着地する地点を見計らい、攻撃を繰り出す。
「魔神剣・双牙!」
ウィンガルとサレが衝撃に耐えている隙に、リオンはバルバトスへと駈けていく。
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