長編3

□X
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静まりかえる会議室で、誰しもが自身の耳を疑う。



───慣れ合いは、死を招き、殺す時が面倒だ


ユーリの言葉が頭の中で木霊する。

そのまま伝えられたリオンの言葉に、彼らは何を思うのか。


ジューダスは奥歯を強く噛み締めた。


「ユーリ、リオンがどこにいるか知っているのか?」

「一応な」

「案内しろ。お前たちがどう思うが知った事ではないし、リオンがどれほど拒んでも関係ない」

「俺はあいつに逆らうことは出来ないぜ?」

「表面上は、だろ?僕にはお前が黙って従う様な奴には見えないが?」


何を根拠にそこまで言い切れるのか、ヒューゴと全く同じ眼で言うジューダスにユーリは諦めのような息を吐き出した。


「しょうがねぇ、案内してやるよ。ただ勘違いするなよ。俺も色々と確かめたい事があるから、そのついでだ」

「それでも構わない」

「ユーリ、そろそろ説明してくれないか?」


2人で会話を進めるのをフレンが遮る。


「説明しろと言われても、俺も説明出来るほど知ってるわけじゃねーよ。配属されたばかりで、事情が飲み込めれるほど何も知らねーよ。そういう意味でなら、俺よりあの2人の方が知ってるんじゃないのか?」


ユーリの視線の先にはスタンとウッドロウがいる。


「俺に聞くより、見れば早いと思うけどな。どうせ行くんだろ?」


やる気の無さそうに頭を掻き、溜息を吐いた。


「スタン……」

「ジューダス。俺はさ、ジューダスもリオンみたいになって欲しくないだけなんだ」

「……そうか。なら、僕は大丈夫だろう」


互いに微笑み合う2人の間には、それだけでも伝わる深い絆があるのだろう。


「さっさと行かないと、隊長さんがどっかに行っちまうぞ。そうなれば、俺でもどこにいるか分からねぇ」

「分かった。なら、行こう」

「お前らはどうする?」


ユーリがフレンらに視線を向ける。


「僕はいいよ。然るべき時に会えればそれでいい」

「なら、俺もフレン部隊長に従うまでだ」

「そうか。お前らは」

「何だか面白そうじゃねーか!」

「ちっ。また、屑の面倒をみなきゃいけねーのか…」

「決まりだな。それじゃあ、行きますか」


ユーリの後に、ジューダス、アッシュ、ルークが続いて会議室を後にした。


彼らを見送ったフレンとアスベルは、スタンらを残し、自身の部隊へと戻って行った。


「スタン君、良かったのかい?」

「いいんですよ。どうせ、何も出来やしない。それに、自分らの行動がリオンを苦しめることになることを思い知ればいい」


ウッドロウに向けたスタンの笑みは、先程ジューダスに向けたものとは全く異なるものだった。

ジューダスらを嘲るような笑みを浮かべているスタンに、ウッドロウも同様な笑みを向けた。


「君も人が悪い」

「何言ってるんですか、ウッドロウさん?現実を目の当たりにすればいいだけですよ。百聞は一見にしかず、っていうじゃないですか」


ニッコリと笑うスタンだが、その笑みはどこか紛い物の様に見える。



(一体どうするか、楽しみだなぁ)




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