長編3
□W
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僅かな時間の間に真相を知り、複雑な感情が沸き上がる。
これがほんの一握りの真実なのであろうことは、リオンや上官、第一部隊の者たちの反応を見れば分かる。
上官もそうだが、彼らのその反応は気に食わない。
ただ今知りえた事実は、然程重要なことではないのだろう。
もっと嫌な事実が奥に潜むことは、容易に判断がついた。
そうでなければ、リオンを助けて欲しいなど言わない。
彼らはリオンに忠実だ。
あのリオンの態度からすれば、どうしてそこまで忠実になれるのかはまだ理解に苦しむ。
それでもあんな態度を取られても、彼らが従うのはそれなりのことがあるからなのだろう。
しかし、分からないことが多い。
そこまでして忠実に従うのなら、どうして自分らで力になろうとしないのか?
軍において上の命令は絶対なのだろうけれども、あのリオンが黙って従うほどに、上層部は絶対的なのだろうか?
他にもまだまだあるが、一番分からないのは、どうして今になって第一部隊の部隊長が選ばれたのかということだ。
最後の疑問に関しては、かなりの裏がありそうだと思う。
それを知っていそうな人物は、恐らくリオンとヒューゴ、それに上層部だろう。
先の疑問は遅かれ早かれ知ることになるだろうが、最後の疑問は問いたださねば知る事はないだろう。
なら、まずはその答えを真っ先に知る必要がある。
(ちっ、めんどうになってきたな……)
どうしてこうも厄介事に巻き込まれるのか。
今回に関しては、目を瞑れば巻き込まれることはない。
それでもどうしても、(性格上の問題もあるのかもしれないが)あの眼が気になって仕方がないのだ。
(何も宿していないくせして、時々、ほんの微かに映る苦しそうな眼……どうにもあれが気になって仕方がねぇ)
そっと息を吐き出してから、会議室の扉に手を掛けた。
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