長編3
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最近よく見る夢。
それはあの時の夢。
それを思いだすだけで、僕の胸は痛く締め付けられ、後悔ばかりが先立つ。
どうして、どうして、と幾度も自らを責めた。
でも今更、遅い。
「ジューダス!!」
敵の罠に嵌った僕の所にリオンが単身で来たのだ。
最前線で戦っている筈のリオンが、だ。
「僕を怒らせた事を後悔させてやる!!」
それは一瞬だった。
僕を取り巻く敵兵を片付けてしまった。
初めて見た光景に僕は動けなかった。
「ジューダス、大丈夫?怪我は?」
「だ、大丈夫。それより……っ?!」
言葉の途中でリオンが、僕の頭を押さえつけた。
その直後、
ダダダダダダダダダダ────
激しい銃撃音とその中に微かな呻き声を聞いた気がした。
それは本当に一瞬で、すぐに銃撃が止んだ。
「ジューダス、そこを動くな」
するとリオンが、散弾銃で相手を的確に撃ち殺していく。
撃ち終わった頃には、生きている兵士はほんのごくわずかだった。
残った敵兵はすぐに撤退をした。
「ジュー、ダス……怪我は?」
「何とも……っ!」
「ジューダス!!」
腕を上げようとしたら痛みが走った。
どうやらあの時、銃弾が腕に当たっていたようだ。
「見せてみろ!………思ったより、深くは無いようだな。良かっ、たっ」
「リ、リオン?!」
突如リオンの体が傾き、倒れる前に抱きとめた。
「す、まない……少し、無理したみたいだ」
「無理って………えっ?」
リオンの横腹を支えていたら、滑りを感じ、自分の掌を確認した。
そしたら、血がべったりと付いていた。
さらにリオンの体を確認すれば、黒のインナーが少し変色し、そこから下の迷彩柄のズボンは赤黒く、足元の砂は赤を吸っていた。
「まさかっ!!ま、さか……あの時に?」
僕の頭を押さえつけたあの瞬間?
あの瞬間に僕を庇ったの、か?
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