長編3

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カイルが手にしているロケットはまさしく自分のものだと分かった。

だが、何故それをカイルが持っているのか不思議でならない。

リオンが困惑している中、カイルは何の了承もなくロケットを開ける。

ロケットの中には、一枚の写真が埋まっていた。


そこに映っているのは、戦争に駆り出されていた時のカイルと双子のどちらか。

おそらくジューダスだろう。


カイルと仲が良かったのはジューダスなので、カイルがツーショットで撮るのはジューダスぐらいなものだ。

そうするとまた疑問が一つ浮かび上がる。

カイルとジューダスが映っている写真を埋め込んだロケットをどうしてリオンが持っているのか?ということだ。


「これ、俺とジューダスなんだよね。どうして、リオンがこれを持ってるの?」


まさに今浮かび上がった疑問をカイルが口にした。

その言葉の裏には、仮にこれがジューダスの形見ならリオンではなく一緒に写っている自分の手元にあるのが普通ではないのか?という意味も込められていた。


「それは……形見、なんだ。それより、カイル……っ?!」


リオンが自分の疑問にも応えて貰おうと伏せていた目をカイルに向けた途端、次の言葉が出なかった。

それはカイルが怒ったような、悲しむような、憎むような、色々な負の感情を露わした表情をしていたからだ。


「なんで、ジューダス死んじゃったの?俺は…俺だけでなく、ユーリやスタンさんたちだって、その場面を目撃していない」


あの時のことを知っているのは双子だけ。

しかもその内1人は死んでしまった。

だから、今真実を知っているのはリオンだけとなる。


「ジューダスとリオンは部隊が違って、戦地も違う場所で戦ってて………それなのに、どうして2人は一緒にいたの!?」


リオンとジューダスは異なった部隊に配属されていた。

リオンは最前線の、ジューダスは後衛の部隊に属していた。

そのため2人が戦う場所はかけ離れていた。

それなのにジューダスが死んだという場所は、いるはずの無い最前線だった。


「ねぇ、どうして?俺だけじゃない。皆知りたがってる」

「それは………」


だがリオンは言葉を濁し、カイルの質問に応えることはしなかった。


「答えて、くれないの?何で?どうして?」


カイルはロケットを握ったままリオンに詰め寄る。

それでもリオンは目を伏せたまま応えようとはしない。


「答えてよ!答えて……答えろよ!!」


最後は語尾が荒くなる。

リオンは黙ったままで、カイルも荒げた息を整えるため黙った。

するとそこには嫌な静寂な空気が漂った。




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