長編3
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あれから何事もなく平凡な日々が過ぎていた。
今日も生徒会メンバーは生徒会室でのんびりと過ごしていた。
「ユーリ、もう少しクリームを乗せてくれ!」
羞恥もなくなったリオンは、昼食後のデザートのおやつの特製プリンに乗せる生クリームの量を増やすように言う。
皆のものより多めに乗った生クリームを見て、満足げに頷いた。
それを一口ずつ味わうように食べるリオンの表情は、幸せそのもの。
それを見るのが一日の楽しみになっているのが、ユーリたち。
リオンはそのことに気がついていない。
そんな甘くて穏やかな時間を遮る者が入ってきた。
「リオンちゃ〜ん!」
満面の笑みで慌ただしく現れたのはゼロス。
その後ろからぞろぞろと前生徒会メンバーがやって来る。
「俺様のハニー、今日も会いたかったよ〜」
「うわっ!いつもひっつくな!」
「あ、頬に生クリーム付いてる」
ゼロスが勢いよく抱きついたので、その反動で手元がぶれて多めに乗っていた生クリームがリオンの頬に付いてしまっていた。
それをゼロスは舌で舐めとった。
「ごちそうさま〜」
「貴様っ!」
「冗談だって!いつも言ってるでしょうが〜」
リオンに怒られてしまい、慌ててウッドロウの後ろに隠れる。
「あの、今日は何か?」
「別に用はないのだが、どうしているかと気になってね」
「用が無いなら来ないで欲しいんですけど」
完全に棒読みのユーリにフレンはいつもの如く窘めるのだが、いつも以上にその態度を改めようとはしない。
「リオ〜ン、今日暇か?」
しれっとリオンに近づき、周りの雰囲気などお構いなしに話しかけるスタンの姿はさすがと言うべきだろう。
前生徒会のメンバーもリオン目的で来ているのが目に見えているので、普段温厚なフレンでさえ少し敵意を剥き出しにしている。
それは他の3人に比べれば、ほとんど表情には出ていないだが。
「で、どうなんだリオン?」
「別にこれといった用は無いが……何か用か?」
「ほら、昔みたいにまた一緒に遊びたいなって思って!」
「昔みたいってなんだ?」
スタンの言葉に食い付いたのはルークだった。
「俺とリオンは幼馴染なんだ!あとカイルとジューダスもそうだよ」
ニッコリと笑うスタンは、どこか勝ち誇ったようにも見える。
「久々に会ったんだからさ、俺達とも過ごしてくれよ!なっ、リオン!」
「だから、どうして僕が!」
「昔はあんなに可愛かったのにな〜俺の後ろをいつも付いてきて……はぁ、可愛かったなぁ〜」
もう一度盛大な溜息を吐いた。
「鬱陶しい!遊んでやる!ただし、今回だけだからな!」
「やったあ!ありがとう、リオン!」
どちらが年上か年下か分からないぐらいスタンのはしゃぎぶりに、現生徒会メンバーは唖然とする。
「スタンだけずっりぃー!なら、俺様もハニーと遊ぶ♪」
「ふざけるな!誰が貴様などと遊ぶか!」
「え〜俺様除者扱いかよ〜じゃあ、夜中に忍び込んで、ハニーにあ〜んなことやこ〜んなことしちゃうもんね」
ニヤッと笑ったゼロスの目は本気だった。
それを読み取ってしまったリオンは、今日一日我慢すればいいだけだと自分に言い聞かせた。
「…………勝手にしろ」
「わ〜い、さすが俺様のリオンちゃん♪」
ゼロスまでもが乗っかれば、もう歯止めは利かない。
「なら、私もお邪魔しようか」
「皆がいるなら、俺も参加するぜ。リオンと一回話してみたかったし」
「…………もう、好きにしてくれ」
自分1人ではどうにもならいと思い知ったので、今日はいつもの倍疲れるだろうと今から憂鬱になった。
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