長編3
□V
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転校してきて早々に親衛隊隊長たちと起こした事件が一夜にして広まり、リオンの噂も一気に広まった。
それを聞きつけた生徒たちは、次の日にはリオンを囲んでしまった。
「ねぇ!生徒会のメンバーの頂点に立ってるって本当?」
「会長の恋人だって本当か?」
「本当に扉を一蹴りで破壊したのか?!」
「あの時いた生徒らに聞いたんだが、すっげぇ妖艶だったって!」
「いや、俺は鬼神だって聞いたぞ!」
生徒たちが発した言葉は半分事実、半分嘘だが、まだそれぐらいなら予想の範疇でリオンもまだ良いとさえ思った。
だが、ある生徒の発した言葉に生徒だけでなくリオンも度肝を抜かれた。
「生徒会メンバーだけでなく、親衛隊隊長たちも手駒に取ったって本当?」
何故そうなる、とリオンは思った。
誤解もいいところだろう。
「そんなことあるはずないだろう」
「でも、僕聞いたんだ。隊長たちが君の話してるの」
「だから何だと言うんだ。第一、あいつらは僕が気に食わなかったんだぞ?」
少々口論になりかけたその時、当事者の親衛隊隊長がこぞって登校してきた。
その内の一人が輪の中心になっているリオンを見つけると、勢い良く目の前にやってきた。
根も葉もない噂をされ、それを怒りにきたと誰しもが思う。
「ファブレ様たちが心配してたので、様子を窺いに来たのですが、どうかしたのですか?」
明らかに昨日とは違う態度。
それに生徒だけでなくリオンも驚く。
まるで先程の言葉を肯定づけるような言い様である。
「やっぱり、本当なんだ」
「すげぇ!あの親衛隊隊長たちまでもを…」
「お前、何者だ!?」
瞬く間に興奮し始めた生徒たちを他所に、リオンは目の前の隊長と残りの隊長を引き連れて、生徒会室を目指したのだった。
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