長編3

□奇跡
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そして翌日。



カイルはリアラと2人だけで、ラグナ遺跡に来ていた。


「どう、リアラ?」


「大丈夫みたい。少し下がって、カイル」



リアラはペンダントを握ると、目を瞑り神経を集中させた。


手の中のペンダントが光り出すと、それと共鳴するかのようにラグナ遺跡にあるレンズも光り出す。


そしてラグナ遺跡のレンズの光の中から、1人の人間の形が形成されていく。


光が消えると、銀髪の青年が姿を現した。


その青年が瞼を持ち上げると、カイルらが視界に入り、ひどく驚いていた。


「君たちは………」


「詳しい話は歩きながらでも!さあ、行きましょう!」






*   *   *





カイルとリアラが出かけている中、孤児院ではジューダスが子供たちの面倒を見ていた。


ロニはアタモニ神団の仕事に戻り、スタンも買い出しに出て孤児院にはいない。ルーティは家事が忙しく、子供たちの面倒を見るどころではなかった。


そのため、必然的に手のあいているジューダスが子供たちと遊ぶはめになった。


「お兄ちゃん早く!」
「遊んで、遊んでよ」


子供たちがジューダスを庭まで連れてくると、急に走り出した。


そんな彼らに対して、ジューダスは溜息を吐いた。


「ったく、どうして僕が子供たちと遊ばないといけないんだ!これはカイルの………」


「俺が、どうかしたの?」


「まったく、お前は今までどこに────っ?!」


ジューダスは背後でカイルの声が聞こえてきたので、彼に対して文句を言いながら振り返った。


その時、真っ先に目に飛び込んできたのは、カイルの姿ではなくその後ろにいた青年の姿であった。それと同時に、言葉を失った。


「そう言わず、遊んでやったらどうだ?リオン……いや、エミリオだったか?」


ジューダスは口をパクパクしながら、まだ目の前の光景に信じられないといった表情をしていた。


「確かに死んだ身ではあるが、そこまでそんな顔をされたら、さすがの私でも傷つくんだが」


「すみません………じゃなくて!フィ、フィンレイ様?!本当に、フィンレイ様なのですか?」


カイルは似たような反応をつい昨日したなと思った。


「そうだよ、リオン。いつまでたっても来ないから、迎えに来た」


「っ、フィンレイ様!!」


横にカイルやリアラ・子供たちが居る事も忘れ、嬉しさのあまりジューダスはフィンレイに抱きついた。


今度はふらつくことなく、フィンレイはしっかりと彼を抱きとめた。




そして、洗濯物を干しに庭に出てきたルーティが、その光景を見てビックリしたのは言うまでもない。





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