長編3
□奇跡
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「もう、行くんですか?」
「そうよ!もっとゆっくりしていけばいいのに」
そう話すのは、スタンとルーティ。
「その気持ちだけで充分です。私たちを知る人たちは多い。どこか誰もいない所で、2人だけでひっそり暮らしていこうと思います」
「気が向いたら顔を出す」
そう彼らに返すのは、少し青がかった銀髪の青年と黒髪の少年。
「住む場所が決まったら、連絡ぐらいしなさいよ」
「分かっている」
「絶対だよ!そしたら、今度は皆で遊びに行くから!!」
「それは楽しみだ。では、行こうか」
「はい………」
銀髪の青年に促され、少し頬を朱に染めた黒髪の少年。
青年がスタンやルーティたちにお辞儀をすると、少年と共に孤児院を後にする。
そんな彼らに向かって、カイルが元気よく叫んだ。
「元気でね!フィンレイさん、ジューダス!!」
『奇跡』
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