長編3
□思念
3ページ/10ページ
それを聞いたリオンの瞳は、驚き、動揺し、悲しみ、絶望し、後悔していた。
そして、私の攻撃をまともに受けたリオンを見て、はっとした。
『これ以上は、彼を殺してしまう!なんとかしなければ!』
リオンを助けるために、無駄かもしれないが、抗ってみた。
すると、リオンに向かっていた剣先は横にずれ、彼を攻撃することは無かった。
既に気を失ってしまっているリオンは、アルカナルインの支配圏から弾き出された。
それを確認できれば、私は安堵した。だが、さらに後悔してしまったのも事実。
───こんな姿をリオンに見せるつもりではなかった。彼を悲しませるつもりなど、傷つけるつもりなどなかった、と。
それからしばらくしても、私の意識が途切れる事はなかった。
だから、答えに行きつく事が出来た。
これはアルカナルインがわざと私に見せているのだと。意識を戻さす事で、さらに後悔を生ませ、より此処に留まらせるためだと。
私はその思惑通りになったのだろうか?
私自身は、これに抗っているつもりだ。
確かに後悔したかもしれない。だが、何も後悔ばかりではない。
リオンの姿を目にして、後悔よりも愛しさの方が上回った。
本当に愛しいと感じたのは、もうどれぐらいぶりだろうか───
.