長編3
□思念
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それから幾らかの月日が経って、再び意識が浮上した。
いつもと同じ光景だと思って目を開けてみれば、そこにはかつの弟子であり、生前唯一愛しいと思ったリオンがいた。
驚いた。
何か彼に伝えられる術はないかと、この時だけこの力に逆らおうとした。
だが、何も出来なかった。意識はあるのに、体がいうことを利かないのだ。
死んだ人間だから、体とも呼べないのだろうけれども、本当にそんな感じだった。
リオンの表情が、目が悲しみに帯びていた。
彼の声も私の発している声も聞こえている。
『それ以上、彼の前で言葉を発しないでくれ!頼む!もう、リオンを悲しませたくないんだ!!』
そう叫んでいた。だが、実際は、
「彼ヲ………リオンヲ……助ケル事ガ、出来ナカッタ。私ノ罪、罪………コレハ罰」
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