長編3
□初恋
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フィンレイ様が任務に赴いていないときは、毎日稽古をつけてもらっていた。
あの時は、一番一緒にいたと思う。
フィンレイ様を知れば知るほど、あの人に対する想いは大きくなるばかりだった。
師としての憧れ、1人の人としての偉大さ、でも何よりも父親の姿を重ねていた。
あの人が本当の父親だったらと、どれだけ渇望したことだろうか。
それからしばらくして、僕が王国客員剣士として正式に認められてからは、上司と部下、そういう関係になった。
その頃になると、フィンレイ様には父親の姿を重ねることはなくなった。
だが、それ以上に厄介な想いを抱き始めていた。その気持ちの正体に、僕はなかなか気付くことが出来なかった。
当初、その気持ちは父親として見ていた感情の延長戦場だと思っていた。
それはマリアンに向けている感情と同じだと、その時は思っていた。
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