長編3
□未練
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私はこの手でお前を救いたかった───
『………ど、して……だ…、何故、…そこ、ま……あの男に……した、がうっ……』
遠のく意識の中で見たのは、お前の泣き顔。
遠のく意識の中で聞いたのは、お前の泣き叫ぶ声に混じった謝罪。
それほどに……
それほどまでにしてお前を突き動かしたものとは何だ?
そんな表情をしてまで、あの男に従う理由とは何だ?
それさえも、お前は私に教えてくれないのか?
ただ、私はあの男の元で悲しみ、苦痛に耐えるお前を救いたかった。
それも、到底叶わないのか。
過ぎた願いだったのか。
───そして、この想いもお前にはもう届かないのか
『未練』
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