長編2
□21章
2ページ/11ページ
2人の切なる願いを聞いて、シャルティエは笑顔を向けた。
(大丈夫ですよ!僕に任せて下さい!!坊ちゃんの笑顔を、幸せを取り戻すことは、僕の願いでもあるんですから!!)
───ありがとう、シャル。
(その言葉は、笑顔を取り戻してからにして下さい。必ず、この時代の坊ちゃんごと救い出して見せます!!)
シャルティエの言葉に2人が安堵した束の間、空間が少し歪んだ。
(な、何?!)
───輪廻が歪み始めてる。
───俺達にも時間が残されていない。俺達も中から呼びかけます。だから、後はお願いします!
2人の体が光に包まれ始める。
───シャルっ
(大丈夫です!!僕を信じて下さい、坊ちゃん)
シャルティエはニコッと微笑み、それに対してリオンが頷く。
そして、再び目の前が光に包まれた。
* * *
今まで眠っていたシャルティエの瞼が、ゆっくりと持ち上げられた。
「坊ちゃん」
ゆっくりと体を起こす。
その時に腹部に痛みを感じるも、気にしてなどいられなかった。
一刻の猶予も許されない。
シャルティエは痛む体に鞭を入れながら、保健室を後にする。
(お願い、間に合って!)
そう祈りながら、廊下を駆けていく。
.