長編2

□21章
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(ここは一体何処だろうか?

それに僕は……



!!



そっか、僕は坊っちゃんに………)


シャルティエは暗闇の中で意識を取り戻す。


(……結局、僕は坊っちゃんを守れなかったのか。あんな悲しげな坊っちゃんを見たのは初めてだった)


彼が思い出すのは、涙を流しながら悲しみと後悔と彼を刺したことへの驚愕とが混じりあったリオンだった。


(ダメだよ、坊っちゃん。自分を手放したら。それこそあいつの思うツボだ……それに)


シャルティエが言葉を紡いでいる途中、目の前が明るく光りだした。


その光はあっという間に消えたが、その光と入れ替わるようにして見覚えのある人物が立っていた。


(………坊っちゃん?それに……スタン?)


彼の前現われたのは、『リオン・マグナス』と『スタン・エルロン』だった。


――――久しぶりだな、シャル


(えっ?久しぶりって、どういうこと?)


言葉の意味が理解出来ず、シャルティエは戸惑う。


目の前にいるのは、自分が知る人物たちだからだ。


―――俺たちは、《あの時代》を生きた俺たちです。

―――今の僕らは、魂であり、輪廻そのものでもある。そして、各時代の僕らは、僕たち魂が宿る“器”でもあるんだ。


(じゃあ、僕の目の前にいる坊っちゃんが、輪廻の始まり?)



―――そうだ。始まりであり、終わりでもある。


―――俺たちの約束から始まった輪廻は、俺たちの約束で閉じられる。それが在るべき姿だった。


(だった?………今はそうじゃないっていうの?)


スタンが頷くとリオンが説明を始める。



―――ミクトランによって、輪廻がねじ曲げられてしまった。そして、今、輪廻の終焉が忌むべき形へと変貌している。


(よく分からないよ!それってどういうこと?)


―――あってはならないことが起きようとしている。それは、リオンと俺、どちらかが片方を殺すこと。それは俺たちの約束と相反するものだから。


―――この時代の僕が、引き返せないとこまできてるんだ。僕の魂が輪廻しているから各時代の僕に語り掛けることが可能なんだ。だが、心を閉ざし、大切なものを見失っているこの時代の僕に、語り掛けることは出来ないんだ。


―――俺たちが巻き込んで言える立場じゃないけど、この時代の俺たちを助けて欲しい。………それに、魂と器は連動してる。だから、リオンが笑わなくなって、笑顔をもうずっと……輪廻が始まってから見れてないんだ。



スタンは苦笑した。


そして、スタンが言うように魂であるリオンも、器であるリオンと同様に無表情であった。



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