長編2

□20章
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「スタンさん!!早くそこから離れて下さい!!」


「え………?」



ロニが叫ぶも、手を跳ねのけられたショックから立ち直れていないスタンは、完全に反応が遅れてしまっていた。



彼の横腹に、男の足が勢いよく入り、そのまま壁へと蹴り飛ばされた。



「…………っ、がは!」


「スタンさん!!」



ロニが駆け寄り、スタンの体を支える。



「大丈夫ですか?」



「げほっ………ん、大丈夫」



「今のあいつには何を言っても無駄です。完全に洗脳されてます」



ロニの言葉を聞き、再びリオンを伺う。



「…………リオンっ」



それではっきりとした。


先程は彼に会えた事で頭がいっぱいになっていたが、今冷静に彼を見れば一目瞭然だった。


彼の瞳には光などなく暗く、表情は悲しみや苦しみ、また怒りや戸惑いなどといった感情が全くなく、まるで機械のように無表情だった。


リオンであるはずなのにリオンではない気がして、スタンは悲しみ、そして彼の背後にいる男に怒りを顕わにした。



「ミクトラン!!貴様という奴は、どうしてそこまで非道な事が出来る?!リオンに……今度はリオンに何をやらせるつもりだ!!」



「くくく、私が人形(リオン)に何をやらせようが貴様の知るところではない。それに、最早リオンは、私の玩具(モノ)だ」


先程スタンに攻撃を加えたミクトランが、再び椅子に座るとリオンを膝の上に座らせた。


そして、スタンやフィンレイ達に見せつける様に、リオンの唇を奪い、貪った。



「リオン!!………貴様、どうしてそこまでリオンにこだわるのだ!?」



「貴様もしつこい男だ、フィンレイ将軍。今となっては、もう将軍でも何でもないか。私がリオンを欲する理由など、一つしかないだろう?」



「また、弄ぶつもりか!」



「弄ぶ?だから貴様は愚かなのだよ。私はリオンを愛している」



「………ミクトラン」



リオンが彼らの会話を遮った。



「どうした、リオン?」


「僕は、どうすればいい?」



「金髪の男以外、消せ」


「…………はい」


リオンは男の命令を聞き入れ、ゆっくりと立ち上がる。


そして、近くにあったサバイバルナイフを握って、スタンを一瞥し、フィンレイ達の方を向いた。



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