長編2

□19章
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夢を見た。


それはいつもの様に誰かに罵られるモノではなかった。



自分1人がガラスの向こう側にいて、ガラスの手前では見知った人物たちが楽しそうに過ごしていた。


自分の事を知らない彼らが、目の前にいた。




(僕は、1人だ。誰も僕を知らない、気付かない。こんな近くにいるのに。誰も………)



リオンはガラス越しに見える光景から視線を逸らした。



(シャルも、スタンも………僕を見ない。さっきからずっと呼んでるのに、振り返らない)



リオンはそっとガラスに手を添えた。



すると、突如その手の上に別の手が添えられた。


自分よりも白いその手。



振り返ると、真っ先に視界に飛び込んできたのは色素の抜けた金の髪。




────ここには、お前と私しかいない。




(違う。皆がそこにいる)



────皆?お前は、あれの事を指しているのか?



(あれ、じゃない!彼らは生きている!物のような言い方をするな!)




だが、その男は可笑しそうに嗤っていた。



────くくく、あれが生きていると?可笑しな事を言う。お前が、皆を殺したのだろう。





(え………?)




リオンは恐る恐るガラスの方に視線を移した。



先程とは異なり、真っ赤に染まった床の上に彼らが倒れていた。



そして、ガラス越しに映った自身もまた赤く染まり、手にはナイフが握られていた。





(あっ………ちがっ……)




────何が違うと言うんだ?お前があれらを殺したんだ。そんなお前に、居場所などもうありはしない



(ちがっ、僕は……何もっ、なに、も……)




────もう、認めるんだ。自分がこれまでに何をしてきたのかを。




(認める?)




────そうだ。認めてしまえば、楽になれる。これ以上苦しまなくてもすむ。そうすれば、私だけが唯一お前を愛してやれる。




(愛して、くれるの?)





────ああ。約束しよう。だから、早く認めてしまえ。





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