長編2

□18章
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シャルティエとハロルドは再会を喜び合ったが、それもほんの僅かな時間だった。



シャルティエが深刻な表情で告げた話が、ハロルドの欲していた情報だったからだ。


それも思った以上に、事態は深刻だった。



初めは互いに半信半疑だったが、時代を重ねる事に確信に迫っていった。



初めに気がついたのは、転生者がある人物と何らかの因果関係を持っている者たちのみだった。



それの人物が、リオンだった。



気付いたきっかけは、時代が進むにつれて《あの戦乱》が風化していった事だった。



《あの戦乱》からすぐの時代では、それが歴史と残っていたため、あまり疑問視をしてこなかった。


だが、風化して以降でその歴史を知る者はいない筈なのに、執拗にその事でリオンが苦しんでいた。



リオンが転生者であるということは、その当時リオンとシャルティエだけの秘密だった。



それなのに、リオンが苦しんでいる事がシャルティエは不思議でならなかった。



それで調べた結果、《あの時代》でリオンやヒューゴに恨みを持つ者も転生していた。


それが何故なのか、調べても調べても答えなど出てこなかった。



そのため、2人はある時、リオンに聞きだしたのだった。




『坊ちゃん、教えて下さい。何故、彼らの行動を甘んじて受けるのですか?』



『これが、僕の役目だから』



『役目?ちょっとそれどういうことよ!』



『僕たちが………僕が、この輪廻に皆を巻き込んでしまったからだ』



2人は初め、リオンが何を言っているのか理解出来なかった。


だが、リオンの言葉は自分たち以上にこの輪廻について詳しい事を教えてくれていた。



『詳しく、教えてくれませんか?』



『僕は、大罪を犯した。それで、多くの人の命を奪い、傷つけた。だから、僕は彼らに抵抗する術を持たない。いや、そんな資格がないから、僕は罰を受け続けるんだ』



だが、その時のリオンの表情はとても辛そうだった。



長年連れ添ってきたシャルティエからしてみれば、それも彼の気持ちだろうが、もっと深い所で何か本当に言いたい事があるのではないのだろうかと感じていた。



だから、その事を口にした。



そしたら、大粒の涙を流しながらリオンは訴えてきた。



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