長編2

□16章
2ページ/12ページ




「兄者、そんなに慌ててどうかしたの?」



「お前には関係の無いことだ」



「ふぅ〜ん。兄者は、やっぱり俺なんかよりリオンがいいんだ」



アシュレイは今にも泣きそうな表情をした。



それが本音なのか、はたまた演技なのかフィンレイに見極める術など無かった。



「アシュレイ、お前は勘違いをしている。お前は、全てをリオンのせいにしたがっているだけだ」



「勘違い?リオンがしてきた事が勘違いだって言うの?俺の言葉より、リオンを信じるの?」



「そうだ。リオンがお前に何をした?何もしてないだろう」



「そうかもしれない」



フィンレイはアシュレイのその言葉に少しの希望が持てた。


もしかしたら、アシュレイはまだ戻って来られるのかもしれないと。




「だったら、リオンを恨む必要もない!私はお前に誰かを恨んだまま人生を生きて欲しくないんだ!人を恨んだところで、何も解決しないだろ?」



「兄者の言うとおりだね。人を恨んでも、苦しいだけだ。どれだけ頑張っても、大切な人は、もっていかれる。今回もそうだ」



「それは違う!!それ自体が誤解なんだ!私がリオンの側にいるのは、私自身の意思だ」



「それって、転生がそうさせているだけだろ?その気持ちも、リオンによって操作されたもので、偽りの気持ちだよ兄者」



「違う!私は、お前にも誰にも言った事は無かったが、《あの時》からリオンを愛していたんだ」



「!!」



アシュレイの顔が驚愕に瞳が見開かれた。



「そして、リオン以上に私はリオンに執着しているんだ」



その言葉に、アシュレイの表情が驚愕から次に蒼白な色へと変わっていった。



「こんな事になると思っていなかったから、お前に話すつもりは無かった。だが、全てを話そう。どうして、私がここまでリオンに執着しているのかを」



そして、フィンレイがポツリポツリと話始めた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ