長編2
□14章
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スタンはウッドロウの部屋を訪ねていた。
「ウッドロウさん、いますか?」
ノックを繰り返すが、部屋の中からは返事が返ってこない。
「どこか出かけているのかな?」
スタンはしばらく部屋の前で待つことにした。
スタンが訪れる数時間前に遡る。
ウッドロウは自室で大人しく、読書をしていた。
今は焦っても仕方が無いと思っていたからだ。
その時、虫の知らせとでも言うかのように脳内に悪い映像が流れ込んできた。
それはリオンがシャルティエを刺すという映像だ。
「…………これは、一体……本当に起こった出来事なのか、それとも悪い知らせか?」
ウッドロウにはそれを確かめる術が無かった。
「スタン君が覚醒するまで待てないということか」
ウッドロウは腰を上げると、自室から出た。
出てすぐ、イクティノスが待っていた。
いかにも今自分が部屋から出てくる事を知っているかの様に、部屋のすぐ目の前に立っていたのだ。
「如何したか、ウッドロウ?」
「少し用事を思い出した。外出をする」
「どこへ?」
「友のところだ」
「…………もう夜も深い。今外出すれば、危険だと思うが」
「それは今から何かがあるからか?それともただの心配か?」
2人は笑みを携えながら会話をしており、一見穏やかに思われる。
しかし、ウッドロウの言葉には少し警戒心が含まれていた。
「もちろん心配している。それだけだが?」
(時々分からなくなる。彼は本当に只転生しただけなのではないかと思ってしまう。もしそうなら、彼を巻き込むわけにはいかない。だが、違うならば………)
ウッドロウは常にその事に頭を悩ませていた。
より最善な方法を導き出そうとすれば、目の前の人物が重要となってくる。
彼が敵か味方かでは大きな違いが出るからだ。
「ウッドロウ?」
イクティノスが困った様に彼の名を呼んだ。
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